デュールデンタル 「LUNOS パウダージェット」

2024年2月13日

長年使用してきた,EMSの歯面清掃機が,ここのところ調子が悪くて,修理に出しても対応が悪く,修理から返ってきてもまた,水漏れや粉が漏れて調子が悪くなってしまう事をくり返すので,これは,もう諦めた方が良いなと思って,日本に入ってきているメーカーの歯面清掃器を調べていたら,「Dürr(デュール)」が新たにこのジャンルに参入してきたことがわかったので,早速連絡をとって,デモ品を借りて使ってみた。

このタービン直結型の「LUNOSパウダージェット」のノズルの形状は,他メーカーのものとそれほど変わらないのだが,デュールのは,水とパウダーの経路がノズルの先端で初めて一緒になるので,粉が詰まりにくいという特長がある。立体的には,パウダーが中心部から出てその周りを水のカーテンが覆うという状態になっているようなので,周囲への粉の飛散も少なくてありがたい。デュールのパウダーの成分は,トレハロースというのも特徴のひとつ。

デュールのプロフィーパウダーの主成分「トレハロース」は,口腔内で糖代謝されない非齲蝕性の糖質(食品認可済)で,水溶性に優れているので,口腔内やポケット内に残留しにくい特徴をもっている。EMSの縁下用パウダーはエリスリトールで,清掃した後に,粒子が細かいためと水溶性ではないために口腔内に帯状にかなり残ってしまうのに比べると,洗い上がりもスッキリしている。

合わせて,パウダーの消費量もやや少なめで,EMSと同等以上の仕上がり(エリスリトール)で,わりとエコなのも助かる。


本体は,1種類で,ノズルを交換することで,縁上用(写真下)と縁下用(写真上)に交換可能。

3㎜以上の縁下を触るときには,この縁下用のノズルの先に,

この滅菌済みで単回使用の「ペリオチップ」を装着して,縁下の清掃を行うのだけれど,このペリオチップが良くできていて,
ノズル開口部は1か所のみでパウダーの噴射方向をノズルを回転させることで360°変更可能なのと,歯面・根面に対して垂直に当たるように角度が設計されているので,思わぬ方向にパウダーを当ててしまう可能性がやや少なくなるよう考えられている。チップを回転させることができれば,もっと清掃の効率が上がるのにとは思う。


パウダーは,脱着式のコンテナに入れて,ケースに合わせて,簡単に交換することができる。
LUNOSパウダーは,2種類。縁上用の「ジェントルクリーン」(粒子サイズ:約65㎛)と,縁上・縁下用の「ペリオコンビ」(粒子サイズ:約30㎛)の2種類が用意されている。
ジェントルクリーンのパウダーには,フレーバーがスペアミント、オレンジ、ナチュラル、ワイルドベリーと4種類が用意されている。
ペリオコンビのパウダーは,ナチュラルのみのフレーバー。


通常のパウダークリーニングなら,縁上用のノズルで「ペリオコンビ」をコンテナに充填しておいて,
ペリオやインプラントメンテナンスの場合は,「ペリオコンビ」パウダーのまま,縁下用のノズルに切り替えてペリオチップで対応するのが良さそうに思う。

しっかり付いた歯肉縁上の着色の場合は,縁上用のノズルで「ジェントルクリーン」を使用した方が効率は良さそう。
「ジェントルクリーン」も,「ペリオコンビ」も,施術後のペースト研磨不要なので,時短につながる。
EMSの縁上用のエアフローパウダーミント(重炭酸ナトリウム)は,粒径が40μm
EMSの縁下用のパウダエアーフローパウダープラス(エリスリトール)は,粒径が14μmで,研磨不要

サイズ感と捜査感は,EMSのエアフローと比較すると,

デュールの方が,ややずんぐりしていて,サイズもほんの少し大きい。
手に持ってみると,やはりEMSの方が,手に馴染みやすいように思うが,手の大きな歯科医や歯科衛生士なら,違和感なく切り替えられると思う。


ノズルの噴射口の角度とサイズもやはり異なっているので,臼歯部頬側の狭いエリアでノズルを回転させたいときなどは,ややEMSの方が取り回しやすい。
噴射方向も異なるので,慣れるまでは,目視で確認した方が良さそうに思う。

実際に,歯科衛生士にデュールのLUNOSパウダージェットを使って施術してもらったところ,トレハロースのパウダーのほうが,施術後のツルツル感は高く,バイオフィルムがしっかり除去されているのがわかる。